子宮頸がん
腫瘍の多くは子宮頸部の扁平上皮と円柱上皮の境界であるSCJ:swuamocolumnar junctionから発生する。
このSCJは閉経後は頸管内に退縮していく。なので、
若年女性→子宮腟部
高齢者→子宮頸管内
に腫瘍は発生しやすい。
子宮頸がんの臨床進行期分類(日産婦2011、FIGO2008、TNM:UICC第7版)
I期(T1):癌が子宮頸部に限局するもの
IA期(T1a):組織学的にのみ診断できる浸潤癌
IB期(T1b):臨床的に明らかな病巣が子宮頸部に限局、あるいは臨床的に明らかではないがIA 期を超える。
※IB1期(T1b1):4cm以下のもの
※IB2期(T1b2):4cmを超えるもの
II期:癌が子宮頸部を超えて広がっているが、骨盤壁あるいは膣壁下1/3には達していないもの
IIA期(T2a):膣壁浸潤が認められるが、子宮傍組織浸潤は認められないもの
IIA1期(pT2a1):4cm以下のもの
IIA2期(pT2a2):4cmを超えるもの
IIB期(T2b):子宮傍組織浸潤が認められるが、骨盤壁に達しないもの
III期(T3):癌浸潤が骨盤壁に達するもので、腫瘍塊と骨盤壁との間にcancer free spaceを残さない。 または、膣壁浸潤が下1/3に達するもの
IIIA期(T3a):膣壁浸潤は下1/3に達するが、子宮傍組織浸潤は骨盤壁にまでは達していないもの
IIIB期(T3b):子宮傍組織浸潤は骨盤壁にまで達しているもの、または明らかな水腎症や無機能腎
IV期(T4/M1):癌が小骨盤をこえているか、明らかに膀胱ならびに/あるいは直腸粘膜を侵すもの
IVA期(T4a):膀胱、直腸粘膜浸潤のあるもの
IVB期(M1):小骨盤腔をこえてひろがるもの
子宮頸癌の描出について
T2WIで腫瘍は中等度信号、頚部間質の低信号を断裂する。この所見は浸潤癌ではT2WIで91%が描出される。
小さな腫瘍はT2WIではわかりにくく、dynamic造影の早期濃染として描出されることがある。(ただし、一般的に子宮頸癌では造影検査自体不要と言われる。)
拡散強調像で腫瘍は高信号を呈する。
病理標本とMRIでの腫瘍サイズは70-90%で0.5cmの誤差の範囲内で一致。
T2WIで腫瘍サイズの評価は浮腫により実際より大きく捉えられやすい。
子宮頚癌pitfaIIs
子宮頚癌のサイズが分かりにくい場合→生検や円錐切除後で瞳癌周囲に浮腫が存在するとき、腫瘍の境界が不明瞭な時。
傍組織浸潤について:頚部間質の低信号を、腫瘍と傍組織の間に認めた場合、傍組織浸潤なしとする→正診率86-96.7%。
傍組織浸潤の診断に造影は有用ではない。
リンパ節転移に関する正診率は87.1%。リンパ節の信号強度や増強効果は鑑別の役には立たない 。
膣浸潤について
MRI:T2WIでの膣壁の低信号の断裂。Gd造影での肥厚した高信号
感度75-87%、特異度79-88%、正診率86-93%。
大きな腫瘤によって膣円蓋が引き延ばされている場合には膣壁浸潤がない場合にも膣壁浸潤ありと間違えやすい。
傍組織浸潤
MRI
頚部間質の低信号が保たれている(陰性所見)
頚部間質の低信号は断裂しているが、傍組織の進展なし (偽陰性所見)
傍組織への結節や、腫癌信号の不整な広がりを伴った頚部間質の断裂(陽性所見)
傍組織への線状構造(偽陽性所見:炎症による変化の場合がある)
→感度66%、特異度83%。
所属リンパ節について
子宮頚癌では、基靭帯、仙骨、閉鎖、内腸骨、外腸骨、総腸骨リンパ節が所属リンパ節となる。(傍大動脈リンパ節はM1となる)
ちなみに、子宮体癌では、骨盤リンパ節(基靭帯、仙骨、閉鎖、内腸骨、 外腸骨、総腸骨)と傍大動脈リンパ節が所属リンパ節となる。
短径10ミリ以上を転移とする基準が最も一般的。その他円形であることやリンパ門の脂肪の消失など 。