子宮内膜症まとめ(疫学、症状、診断)

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2023-8-8 09:31
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概念および疫学

子宮外に異所性の機能性内膜組織が存在する病態。

20-40歳の生殖可能年齢の5-10%。

本邦では推定100万人以上。近年増加傾向。

月経困難症や不妊症の原因となり、女性のQOLを著しく損なうため社会的にも問題。

進行性の経過をたどり、周期的に出血を繰り返し、周囲に浸潤して強固な癒着を来す。


発生部位

骨盤部内膜症は卵巣に好発し、内膜症性嚢胞(チョコレート嚢胞)を形成。

骨盤内では、卵巣>子宮漿膜後面>Douglas窩>仙骨子宮靭帯に発症する。

腹膜にも好発。膀胱・尿管、腸管、膣、腹壁、皮下、後腹膜、肺、胸腔内、臍、骨盤リンパ節にも発生。「肺子宮内膜症」のように子宮内膜症の前に解剖学的臓器名を付して呼ぶ。

一方、子宮腺筋症は子宮後壁に存在することが多く,子宮筋層内の病巣によって子宮壁は肥大する。

子宮内膜症の好発部位



臨床症状

さまざまであるが、主な症状として、骨盤痛と不妊が挙げられる。

特に、 月経困難症は子宮内膜症患者の50~90%に見られ、その痛みは通常の月経痛より持続的で、年齢とともに増悪傾向を示し、進行すると月経と無関係に疼痛が 認められるようになる。

性交痛や内診時の圧痛といった月経時以外の疼痛が合併することがしばしばで、これらは仙骨子宮靭帯や周囲組織との癒着や浸潤によってもたらされる。

不妊は子宮内膜症患者の30~50%に合併する。機序として、卵巣における病巣の形成や周囲腸管との癒着によって、卵胞発育や排卵の障害がもたらされる卵巣の機能異常が考えられる。

そのほかに、月経不順、過多月経、不正性器出血などの月経異常が見られることも多い。

骨盤外子宮内膜症の症状は、それぞれの発生部位に応じた自覚症状が出現。月経周期と関連した疼痛、出血あるいは臓器障害が中心。

なかでも肺子宮内膜症は胸膜型と実質型に分けられ、その頻度は5~6:1と胸膜型が多く、症状も異なる。いずれも右側に発生する割合が多く、横隔膜の先天的あるいは後天的な欠損孔が右側に多いこととの関連性も推測されている。実質型ではCTやMRIで月経周期によって大きさが変動するcoin lesionが特徴的。

子宮腺筋症の症状は子宮内膜症と類似したものが多いが、主な症状として月経困難症、過多月経、不正性器出血、性交痛が挙げられるが、症状が認められないことも比較的多い。


診断

腹腔鏡検査あるいは開腹手術によるのが基本。

問診、内診所見、超音波断層法検査やMR、腫瘍マーカーなどで診断した子宮内膜症は「臨床子宮内膜症」と呼ばれ、確定診断ではない。

MRIは、チョコレート嚢胞と皮様嚢腫あるいは卵巣癌との鑑別を行ううえで有用。

卵巣癌で感度が高い腫瘍マーカーであるCA125は、多くの子宮内膜症患者でも上昇し、診断の補助や治療効果の判定に用いられることが多い。 (ただし、数百U/mJ(正常:37U/m/以下)で月経周期によって変動することがある)。

過多月経と強い月経痛を訴える症例に子宮腫大が認めら れたとき、CA125が50U/ml以上であれば90%以上 に子宮腺筋症があるとの報告あり。

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