子宮筋腫の変性
富細胞平滑筋腫(cellular leiomyoma)
- 細胞密度が高いが、悪性の根拠となる核分裂はほとんど見られない。
脂肪平滑筋腫(lipoleiomyoma)
- 閉経後に進行、増大。組織学的に脂肪組織の量は様々で、極端に多い症例では平滑筋組織が全く見られなくなり、単に脂肪腫lipomaと呼ばれる。
水腫様平滑筋腫
- 浮腫を来した筋腫。変性の初期段階。変性が進むと嚢胞化する。
粘液様平滑筋腫瘍(myxoid leiomyoma)
- 粘液変性が目立つ平滑筋腫で、ゼラチン様構造を認め、大小の嚢胞形成も見られる。粘液部分以外は造影効果を認める。
循環障害によるもの
- 動脈梗塞→子宮動脈塞栓術後の筋腫の虚血
- 静脈梗塞→赤色変性
- 子宮筋腫嚢胞変性(循環障害により浮腫、次いで出血、その後嚢胞変性が生じる。)
画像パターンより分類した変性を来した子宮筋腫
- T2強調像で高信号→浮腫、嚢胞変性、類粘液様変性、富細胞性筋腫
- T1強調像で高信号→出血(赤色変性、富細胞性筋腫の点状出血など)、脂肪変性・化生
- DWIで高信号→富細胞性筋腫など
- 造影効果→赤色変性をきたすと造影効果(-)
T2WIで高信号を呈する筋腫の鑑別
T1強調像 | 造影T1強調像 | |
浮腫 | 等信号 | 中〜高度 |
粘液性変性 | 低〜等信号 | なし〜軽度 |
嚢胞変性 | 低〜等信号 | なし |
赤色変性 | 辺縁高信号 | なし |
富細胞性筋腫(cellular leiomyoma) | 等信号 | 高度 |
脂肪平滑筋腫(lipoleiomyoma) | 高信号 | 脂肪以外に中等度 |
症例 40歳代女性 漿膜下子宮筋腫の粘液様変性(myxoid degeneration)
T2WIにて高信号の内部に不均一な低信号あり。低信号部位は造影効果を認めるが、高信号部位には造影効果は認めない。粘液様変性を疑う所見である。
症例 50歳代女性
子宮前壁筋層内にT2WIで高信号部位を含む子宮筋腫あり。
水腫様変性、浮腫の強い変性子宮筋腫と診断されました。