ばね指手術の基本手技

501

2023-9-21 17:04

0 bullet chats

Unauthorized reproduction is prohibited

ばね指手術における基本手技. 研修医, 新人整形外科医師対象：ばね指手術は整形外科医となり最初に執刀させてもらえる手術の一つです. この時期は, 基本操作を覚える上で大切な期間でもあり, 様々な動画や論文に目を通して自分に合った基本知識を身につけて貰いたいと思います. 手外科の皮膚切開は, 皮線に直交する創を作成すると瘢痕で引きつることからジグザグ皮膚切開が基本です. 言い換えれば, 側方アプローチや皮線まで届かない皮膚切開は問題がないと言うことになります. ばね指手術での縦切開は, 切離したい腱鞘よりも小さな切開となりますので筋鈎で引き上げて覗き込むようにして腱鞘を切離する事になります. その際に創が裂けて皮線に直交する創になる恐れが生じます. それを防止する目的に前もって切開する創の両端に縫合糸をかけます. 続いて腱鞘切開ですが, 中枢方向に向かって腱鞘を切離する場合は, 創端を筋鈎で引き上げても切離したい腱鞘を最後まで目視することは困難です. そこでメッツェンバウム剪刀（デリケート剪刀）の使い方は, 挟んで切るのでは無く, 剪刀の先端を少し開いたままで腱鞘の中央に当て押し切りを行います. このことで腱鞘に沿って剪刀が移動することとなり, 神経血管束を損傷することなく安全に腱鞘切開が可能となります. ところが, 末梢方向に向かっての腱鞘切開は目視で確認しながら切離したい部位まで挟んで切ります. 押し切りをするとA2pulleyまで損傷させてしまう恐れが出てきます. PIP関節の伸展制限がある場合などでA2pulleyを一部切離しなければいけない場合もありますが, 筋鈎で引き上げ, 目視で確認しながら必要な部位まで切離します. そして皮膚縫合は, この動画では垂直マットレス縫合を行っておりますが, 基本は針を皮膚に対して直角に刺入し, 針の湾曲に沿って皮下組織を丸く包むように運針し, 皮膚から直角に抜くということになります. 　用いる縫合針が短いためにその都度創から一度抜いて, そして創から針を入れ直す必要が生じます. 返しの縫合も直角に刺入し直角に抜くといった基本は同じでありますが, 創から一度抜いてしまうこと無く針が創を跨いだまま縫合が可能です.

Comments 0

Please to post a comment~

小田明彦

DRLv2