穿刺に負けない鼠径部(大腿動脈)のカットダウン方法
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穿刺に負けない鼠径部(大腿動脈)のカットダウン方法
・近年、ステントグラフトやMICS、TAVIといった大腿動脈を露出する手術手技が増えている。 これらは低侵襲な治療がゆえに数日で退院可能であるが、創部のトラブルで入院が長引いたり、再入院するようでは本末転倒である。 ・当院でも穿刺で使用可能な縫合デバイスであるpercloseを2年ほど使用していた時期があったが、石灰化の強い血管や抗凝固療剤、抗血小板剤など内服中の症例などで、止血困難や後出血となる症例や、デバイスによる血管の損傷、狭窄をきたす症例が一定数存在していた。 ・あらゆる症例に対応するために、現在行きついたカットダウンの方法を紹介します。合併症もなく傷の大きさや痛みなども穿刺とほぼ変わりません。  1,10-15mm程度の小切開  2,最小限の剥離  3,血管鞘のつり上げ  4,タバコ縫合ではなくU字縫合 この方法を開始して2年、術後トラブルや追加治療はほぼありません。  メリット ・10-15mm程度の創のため感染やリンパ漏といったトラブルはゼロ。 ・術後の痛みも少ない。 ・血管鞘の吊り上げにより血管が浅くなる。穿刺が容易。 ・ほとんど剥離しないので、出血や損傷もない。 ・U字縫合x2にすることで狭窄することはない。外反になっているので追加縫合も容易。 ・開創器が必要なくなり、ラインの絡まりもなく、透視の邪魔にもならない。 ・再手術でも癒着が少ない。 デメリット ・出血や血管損傷などのトラブルに対応しにくい。 ・慣れるまでは時間がかかる。
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